研究実績の概要 |
【高圧インピーダンス測定について】イットリウムを添加したバリウムジルコネートにおいて水素イオンが飽和すると予想される10-20barの水蒸気下にてインピーダンス測定を行い、プロトン伝導を評価した。さらに10barの重水蒸気下にてインピーダンス測定を行い600-400℃、高圧下でのプロトン・デューテロンの同位体効果について検討した。プロトンとデューテロンの伝導度比σ(H+)/σ(D+)は1.5±0.5となり同位体効果が観測された。飽和プロトン濃度と10bar, 20barでの電気伝導度からプロトン移動度を見積もった結果、値は一致しておりプロトン移動度は水蒸気分圧に依存していないことが明らかになった。 【酸化物中のMn価数について】マンガンを添加したストロンチウムジルコネート内のマンガンイオンの価数を添加元素によって制御することが可能であるかを検討するためAl, In, Y, Ybを微量に添加した際のマンガンイオンの価数を電子スピン共鳴(ESR)にて調べた。Mnを添加したストロンチウムジルコネートのみでは還元性雰囲気では3+であったMnの価数が酸化性雰囲気では一部4+となることが昨年度の研究で明らかとなっている。AlやInを添加した場合は無添加のものと同様にMnの価数が酸化性雰囲気で4+、還元性雰囲気では一部3+となることが明らかになった。一方、YやYbのようなイオン半径の大きな元素を添加すると酸化性雰囲気と還元性雰囲気ともにMnの価数が3+となっていることが明らかになった。 【ポテンシャルプロファイルについて】La系ペロブスカイト酸化物およびBa系ペロブスカイト酸化物の部分伝導度を評価し、種々の条件下の燃料電池および水蒸気電解時の電流・電圧特性及びポテンシャル分布を計算してデバイスに適した材料について検討を行った。
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