研究実績の概要 |
本研究では噴霧乾燥を利用した多孔性配位高分子 (MOF) のエアロゾル合成プロセス (ASP) を機能性ナノ材料複合MOFの合成およびMOF薄膜作製の2つの形態制御プロセスへと発展させることを目的としている。平成30年度は、様々なナノ材料を複合したMOF粒子および薄膜の作製とその応用を目的とした。 新たな対象MOFとしてUiO-66(Zr6O4(OH)4(BDC)12; BDC2- = 1,4-benzenedicarboxylate)のASPによる合成を行った。様々な合成条件を検討した結果、ワンステップで合成できる条件を明らかにした。 ナノ材料内包複合MOF粒子の合成では、新たにパラジウムナノ粒子、カーボンナノチューブ(CNT)を、HKUST-1 (Cu3(BTC)2; BTC3- = 1,3,5-benzenetricarboxylate)中に含有量を制御して内包することに成功した。また前年度までに開発した噴霧法によるMOF薄膜作製装置を用いて、平滑基板だけでなく、多孔質アルミナ基板やポリマーフィルム上でも同様の成膜ができることを明らかにした。またMOF原料溶液にCNTを加えて噴霧することで、薄膜中にCNTが複合されたHKUST-1薄膜の作製に成功した。CNTを複合することによって水蒸気安定性が向上することを明らかにした。またある濃度以上のCNTを複合することで自立膜としても得ることができた。 さらにASPによるMOF粒子および薄膜の形成メカニズムを明らかにするため、バッチプロセスによる結晶形成速度解析に着手した。
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