現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主目的はベンジル位のC-H活性化に有効な触媒の開発である。空気下でのメシチレンとアニリンからのイミン合成反応をモデル反応として、酸化セリウムに27種類の金属種を担持させた触媒を、その担持量を0.1, 0.5, 1, 2 wt%に変化させ調製し、反応比較検討を行った。その結果、銅を酸化セリウムに担持させた触媒(Cu/CeO2)が目的のイミンのみを高選択的に生成する触媒であることを見出した。さらに、詳細な銅担持量依存性について検討を行った結果、銅の担持量を増加させることで、アニリンベースでのイミン選択性が向上し、銅担持量が2wt%以上になるとイミン選択性が約90%で横ばいとなった。酸化セリウムのみでのイミン選択性が50%であることを考えると、著しい選択性の向上である。一方、銅の担持量による目的の反応活性の大きな変化が見られないことから、Cuを担持することにより副反応であるアミンの酸化カップリング反応のみを選択的に抑制することに成功していると言える。さらに、長時間反応により、アニリンベースで転化率98%、選択率95%で目的イミンを合成可能であることも確認した。反応機構解析として、酸素濃度依存性検討の結果、酸素濃度が高いほど転化率が高くなる傾向が確認されており、酸素の活性化もしくは酸素供給が律速になっていると考えている。今後、触媒解析および速度論解析を行うことで、触媒の活性種及び反応機構の解明を行う。
|