金および銀ナノ粒子への双晶構造の導入とその触媒作用への効果を調べ、また双晶構造の効果の起源ついて調べてきた。これまでに、双晶Auナノ粒子の反応性の研究、Au以外の金属の検討、分子吸着によるナノ粒子の形態制御の理解、粒子構造の新しい解析手法の導入を進めてきた。最終年度である2019年度では、これまでに進めてきたナノ粒子表面への分子吸着による粒子形態制御について、金属種や触媒調製条件を変化させることによって、触媒材料と触媒作用を展開した。金属種については、双晶界面エネルギーが低いAgを選択した。担持Agナノ粒子が熱や雰囲気によって再分散するなど、粒子構造が変化しやすいことに着目して、ナノ粒子形成後に一酸化炭素および水素雰囲気下で加熱処理することの効果を調べた。その結果、Agナノ粒子の構造がガス雰囲気によって変化し、双晶界面構造を可逆的に導入・除去可能であることを発見した。また、Ag粒子構造変化に一酸化炭素酸化反応の触媒活性が応答した。さらに、金属種としてPdについてもガス処理の効果を調べた。その結果、一酸化炭素を用いるとステップ表面を有する粒子構造、水素を用いるとプレーン表面を有する構造が生成することが判明した。これによって不飽和アルデヒドの水素化反応の選択性と活性が変化した。これまでに、ガス処理を触媒調製に用いることで、AuとAgでは双晶構造、PtやPdでは粒子形態および表面構造制御が可能であること、またこれによって酸化・水素化の触媒性能が変化することを示してきた。本研究で開発を進めてきたガス分子吸着による担持金属ナノ粒子触媒構造制御手法の汎用性と重要性が明らかになったと考える。
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