ヒドラジンに代わる宇宙機用液体推進剤として高エネルギー物質アンモニウムジニトラミド(ADN)を主剤とし,イオン液体の知見を導入した新たな推進剤「ADN系イオン液体推進剤」に着目した。本研究では,推進剤組成の構築に向け,種々の物質とADNとの間の共融現象を観測し,イオン液体の調製指針を得た。また,レーザーを用いたADN系イオン液体の液滴の非接触点火に成功した。さらに熱分解,燃焼特性に関する知見を得るため,加熱時の熱挙動-生成ガス同時分析を行い,反応メカニズムを解析した。以上より,新規推進剤候補であるADN系イオン液体の実用化に向け基盤を築くことができた。
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