研究課題/領域番号 |
16H06135
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西田 祐也 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 特任助教 (60635209)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 3次元計測 |
研究実績の概要 |
本年度は2~3m先の生物形状を計測できる実海域用3次元計測装置を開発した.開発した装置は水中カメラ容器と制御装置の2つに分かれている.水中カメラ容器内にはGigEインターフェイス,フルサイズのCCDを有したカメラを搭載している.制御装置にはレーザープロジェクタとCPUボードを搭載しており,CPUボードによって照射するレーザーパターンをレーザープロジェクターに出力し,カメラのシャッタータイミングなどを制御している.高解像度の画像を安定してCPUボードで取得できるよう水中カメラ容器と制御装置はGigE用の水中コネクタおよびケーブルを介して接続されている.本計測装置を用いた撮影試験を水槽にて行い,容器レンズの歪みや光の屈折などのキャリブレーションに必要なデータを得ることができた. レーザ光の検出並列処理による高速化を実現するためには,プログラマブルロジックデバイスであるFPGAにカメラ制御,画像データの取得,レーザ光検出の並列処理の3つを実装する必要がある.レーザ光検出などの画像処理の実装は今までの経験をもとに実装し,高速化に成功した. 様々な水中環境で得られたレーザ光の反射画像を比較したところ,水の透明度やマリンスノーなどの浮遊物によってレーザ光検出に関するパラメータが変化することが分かった.水中環境に依存せず安定してレーザ光を検出するため,レーザ光パターンのような画像の高周波成分を鮮明にする前処理アルゴリズムを開発した.開発した前処理アルゴリズムは,撮影画像を反射画像(必要な画像)と水中環境によって変化する照明画像の成分に分け,照明画像を光の減衰と散乱から導出される係数を用いて推定し,撮影画像から照明画像成分を除去することで鮮明な画像を得ることができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
レーザ光の検出並列処理のボトルネックは,FPGAとカメラ間の通信および画像取得である.レーザ光検出はアルゴリズム的に並列化しやすくFPGAでの高速化できたが,イーサネット通信での画像取得は並列化できなく,処理速度はある程度マシンスペックに依存する.単純な画像取得部を実装したFPGAのボードでは想像以上に画像取得に時間がかかってしまい,処理全体での処理速度はCPUボードとの処理とそれほど変わらない結果であった.その画像取得部の高速化の調整および検討に時間がかかった. 購入したレーザプロジェクターのレーザーパターンが当初計画したように制御できず,また製造修了にともないメーカーサポートも受けられなくなったためレーザープロジェクターの制御プログラムの実装にかなりの時間を費やした.
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今後の研究の推進方策 |
Linuxを搭載したFPGAボードを使い,カメラ制御および画像取得のためのイーサーネット通信をFPGAではなくLinuxに実装する.Linuxを使うことで開発の負担を減らすとともに開発速度向上を図る.また,専用SDKを使って照射するレーザーパターンを指定するのではなく,イラストレーターなどのソフトで描画した画像でレーザーパターンを指定する.画像でレーザーパターンを指定することで,サポートが切れたレーザープロジェクターの制御プログラム開発にかかる時間が必要なく,開発速度が向上すると考えられる.描画した画像はHDMI経由でレーザープロジェクターに送信し,任意のレーザーパターンを照射するように変更する.
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