研究課題
平成29年度は研究実施計画に沿って、平成28年度に整備した低融点金属循環装置の温度制御系の追設を行い、低融点金属Uアロイの連続循環および自由表面鉛直流の連続形成を達成した。またノズル形状を改良し、チェーン等の内部抵抗体を流れに挿入できるようにし、内部抵抗体による流れの安定化も確認した。また続いて電磁流量計および永久磁石固定冶具の追設を行い、マグネットポンプの連続運転性能の確認と、磁場の有無による流れの状態の変化の確認を行った。またTIGアーク放電および電極挿入による直接通電を通じた低融点金属自由表面鉛直流への電流印加も実現し、本研究の主目的であるMHD影響の検証のための実験に着手し、データの取得を開始した。初期実験では電流の印加により低融点金属鉛直流が内挿した抵抗体を伴って傾くこと、またその傾きが印加電流値と正の相関を持つことを確認した。現在までのところ電流および流量に関する系統的なデータ取得が十分ではなく、また計測の不備もあり流速の定量的な解析も十分ではないが、一連の実験の実施によりこれらの改善に向けた指針を得ることができた。MHD影響による鉛直流の傾きは簡易計算による予測とおおよそ一致しているが、これを核融合炉条件に外挿すると傾きは許容できないレベルに大きくなると予測され、液体金属ダイバータの設計思想の転換が必要となる可能性も出てきており、そのためにも追加データの取得が必要な状況である。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度当初に立てた計画通りに低融点金属循環装置の温度制御系・電磁流量計・永久磁石等の追設が完了し、MHD影響に関する初期実験を遂行することができた。実験を進める上で装置にさらに改良が必要な点が見つかり、当初予定していたまでの系統的なデータ取得には至っていないが、これらの改良に向けた指針は得られており、次年度前半にはそれらへの対応および追加のデータ取得が進められる見込みである。
平成29年度の実験において、安定した実験条件の実現のためにはノズル形状および装置の運転手順のさらなる改善が必要なこと、また実験データの解析のためには追加の計測が必要なことが判明した。平成30年度はノズルの改良および追加の計測系の整備を行い、磁場による流動状態の変化およびMHD影響について系統的なデータ取得を行い、その結果を分析して液体金属ダイバータ概念の改良に向けた指針を示す。
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Plasma and Fusion Research
巻: 13 ページ: 1405003
10.1585/pfr.13.1405003