研究課題/領域番号 |
16H06145
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研究種目 |
若手研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
杉浦 悠毅 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30590202)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イメージング質量分析 / 神経伝達物質 / モノアミン / マイクロダイアリシス |
研究成果の概要 |
これまでに神経伝達物質の局在と代謝の分子実態をダイレクトに捉えられる分子イメージング法は存在しない。そもそも、神経伝達物質の脳内における濃度偏在も未知である。 本研究提案では、情報伝達の「物質実態」である神経伝達物質分子を一斉かつ定量的に局在可視化する高感度な質量分析イメージング法を開発した。さらに、マイクロダイアリシスと質量分析を組み合わせ、放出された伝達物質群の経時的モニタリング法も確立した。これらにより、全脳モノアミン・マッピングによる3次元アトラスを作製し、免疫活性化が引き起こす精神疾患のメカニズムを解明し、さらに疼痛刺激時に応答した側坐核のドパミンの動的な変動を可視化するに至った。
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自由記述の分野 |
生化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一連の技術開発により、感情や行動の調節を担うモノアミン量(セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン)をイメージングする事が可能になった。公開したモノアミンの全脳地図からは、複数のモノアミン集積核が新たに同定された。なかでも恐怖、不安といった情動調節に深く関わる『視床室傍核』と呼ばれる神経核に、セロトニンとノルエピネフリンが極めて多く集積することが明らかになった。さらに視床室傍核のセロトニンは動的に変動し、行動異常を呈す疾患モデルマウスでは大きく減少していた。本研究で発見された視床室傍核を含む新しいセロトニン神経回路は、精神疾患に対する新規治療薬開発のための新しい創薬標的となることが期待される。
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