現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、mRNAの精密制御を目指し、1.mRNAの分解によるタンパク質翻訳阻害ツール。2. mRNA翻訳向上制御によるタンパク質量増強ツール。3. mRNA上での点変異によるタンパク質の性質改変ツールを開発し、将来的にそれらを組み合わせ、遺伝子発現回路を構築することを目的としている。本年度は、標的RNAに結合するPPRの作成、及びRNaseなどを融合したRNA分解ツールの概念実証を目指した。まず、タンパク質量を迅速かつスループットよく検出するためreporter遺伝子の選定を行った。GFP, RFPのような蛍光タンパク質。Firefly luciferase, Renilla luciferase, Nano-lucのような発光タンパク質発現プラスミドを作成し、HEK293T細胞へトランスフェクションし、検出感度などを比較した。結果Nano-luc (nluc)が非常に感度高く検出できるreporterであることが判明した。これまでの研究で作成できていた人工PPRタンパク質(PPRa)が標的する配列をnluc遺伝子の5UTR, 3UTR, 開始コドン直下に挿入したplasmidを作成した。さらにPPRaとRNaseを融合したタンパク質発現プラスミドを作成した。それらをHEK293Tへトランスフェクションしreporter活性を調べた結果、開始コドン直下に配置した場合に50%程度のレポーター発現の低下が見られたが、UTRの場合は10-20%程度しか低下しなかった。これらのことから標的を設定する際は、UTRを標的することは避けるべきだということが判明した。現在さらにnlucの翻訳領域に標的する人工PPRを作成中である。今後、その人工PPRを用いてreporter 発現を抑制できるか検証を行う。
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