カエデチョウ科鳥類は,求愛ダンス・歌・羽装の「派手」さや,それがどれほど雌雄間で共有されているかに関して,著しい種間多様性を呈する.本研究では,このような性的信号の多様性が,機能および進化の観点からなぜもたらされているか検討をおこなった.行動学的な検討から明らかになったのは,歌とダンスが同時に表出される行動であっても,異なる役割を担っていることである.具体的には,歌は個体の質を反映する信号となっているのに対し,ダンスは雌雄間の相互的コミュニケーションとして機能し,つがいの絆に寄与していた.さらに,系統種間比較解析からは,羽の模様の派手さとダンスの複雑さの間の相関が明らかになった.
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