研究課題/領域番号 |
16H06182
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
風間 智彦 東北大学, 農学研究科, 助教 (30431464)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オルガネラ / ミトコンドリア / 次世代育種技術 |
研究実績の概要 |
本研究ではミトコンドリアにコードされる機能不明ORFによって正常な花粉ができなくなる細胞質雄性不稔性(CMS)イネを材料に用いて,次世代育種技術(TALENおよびPPR)を用いた人工稔性回復因子の開発を行うことを目的とした.具体的には,ミトコンドリア移行シグナル付TALEN(mitoTALEN)によってCMS原因遺伝子へ変異を導入することで稔性回復を引き起こすことと,人工PPRタンパク質をコードする遺伝子を導入してCMS原因遺伝子から転写されるRNAを切断もしくは分解させることで稔性の回復を引き起こすことの2点について研究開発を行う. BT型CMSイネのCMS原因遺伝子と考えられているorf79を標的としたmitoTALEN(TAL1, TAL2, TAL3)コンストラクト3種類を,アグロバクテリウム法でBT型CMSイネへ遺伝子導入した.この結果,TAL2とTAL3において再分化個体を得ることができた.再分化した系統についてorf79に変異が導入されているかどうかを調査したところ,一部の系統を除いてorf79が消失していることが分かった. BT型CMSイネのミトコンドリアゲノム配列に関しては,未だに全塩基配列の報告がなされていない.今後,mitoTALENを導入した系統のミトコンドリアゲノムがどのように変化したかを調査するためにも,ゲノム配列の決定は必須である.そこで,BT型CMSイネの単離したミトコンドリアよりゲノムを抽出し,次世代シークエンサーによって塩基配列を決定した. 変異導入Rf1をBT型CMSイネへ遺伝子導入するために,Rf1とRf1ホモログを比較することで明らかになったRf1ホモログに存在する変異をRf1に導入した変異導入Rf1コンストラクトの構築を行った.得られたコンストラクトをBT型CMS系統へアグロバクテリウム法によって遺伝子導入し、再分化個体を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
mitoTALENの種類によっては,遺伝子導入系統を得られないことがあるが,様々な配列をターゲットとするmitoTALENを導入する事で,問題は解決している.
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今後の研究の推進方策 |
TAL2およびTAL3遺伝子導入BT型CMSイネについて,ミトコンドリアゲノムにどのような変化が生じているかを調査する. WA型CMSイネのCMS原因遺伝子と考えられているorf352とCW型CMSイネのCMS原因遺伝子と考えられているorf307を標的とするmitoTALENを遺伝子導入するために,コンストラクションを行う.さらに,それぞれのmitoTALENコンストラクトをそれぞれのCMS系統へ遺伝子導入を行う. 変異導入Rf1コンストラクトを導入したBT型CMSイネについて,P1型人工気象室で育成させ,花粉稔性と種子稔性の確認を行う.
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