研究実績の概要 |
昨年までの研究により、EFR, 及びRBOHDの両方と複合体を形成する因子として我々が単離したREAL1はEFRをはじめとするPAMP受容体の負の制御因子であることが分かった。本年度はREAL1の機能を分子レベルで解明することを目的に研究を行ったところ、REAL1の過剰発現体ではPAMP受容体のタンパク質量が減少していることが分かった。逆に、REAL1の欠損変異体では PAMP受容体の量は増えていた。よって、REAL1はPAMP受容体と結合してその量を負に制御することが明らかとなった(論文投稿準備中)。 NLR受容体の活性化後に誘導される活性酸素生成の分子機構について調べたところ、RBOHDのS343、及びS347がリン酸化され、これが引き金となってRBOHDが活性化されることが分かった。これら部位のリン酸化はPAMP受容体の活性化後にも誘導され、活性酸素生成にも必須である (Kadota et al Mol Cell, 2014, 54:43-55)。よってこれらRBOHDのリン酸化部位は、二種の免疫受容体の情報伝達系の収束点であると思われる。また、アメリカUC DavisのGitta Coakerのグループと共同でNLR受容体活性化後のリン酸化プロテオーム解析を行い、多数の新規リン酸化タンパク質の同定に成功した。興味深いことに、この中にはRBOHDのS343/S347以外にも二種の免疫受容体の情報伝達系の両方でリン酸化されるものがあった。そしてその中にはPEN3, ACA8, non-canonical Gα protein XLG2等、既知の植物免疫の制御因子が含まれていた(Kadota et al., New Phytol. 2019)。
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