研究課題
1.黄砂雲母が日本の土壌の RCs 固定容量を引き上げた累積効果の推定:京都市北西部の神吉盆地内で採取された,急激な気候変動が生じた7.5~6.8万年前の堆積層に相当する厚さ14 m の泥炭ボーリングコアを約5 cm 間隔で21等分し、各分割コアを供試試料とした。有機物分解と湿式篩別により分割コアから20 μm 以下の無機粒子を単離し、この粒子について選択溶解法による雲母量の定量と石英の単離を行い、単離後の石英の酸素同位体比を測定した。また、X線回折による鉱物組成解析を行った。さらに風成塵と雲母の積算量を、寒冷気候の指標となるマツ科針葉樹の花粉存在比(PP)を説明変数とした回帰分析により算出した。その結果,コアから単離された鉱物粒子の90~99%が20μm 以下であり、雲母、石英、カオリナイトを主要鉱物とし、鉱物粒子中の石英の酸素同位体比は16.0~17.5‰でほぼ一定であった。これらは全て黄砂に特有の性質であることから、本研究では20μm以下 の鉱物粒子を黄砂として扱った。黄砂および黄砂由来の雲母の堆積量は7.5~6.8万年前にそれぞれ平均58±29 mg cm-3 (値域:12~103 mg cm-3) と9.2±5.8 mg cm-3 (値域: 1.0~19 mg cm-3) であった。これらに基づいて求めた黄砂の年間堆積速度はPP増減に対応し大幅に変動したため、寒冷気候の指標であるPPを説明変数とし直線回帰を行ったところ、黄砂の堆積速度の約75%が説明できた。この回帰式の外挿により算出された9.1~2.9万年前の期間の黄砂の積算堆積量は厚さ30cmの累積層に相当する。これは平均的な土壌の生成速度に匹敵する大きな値であるため、風成塵中の雲母の歴史的な堆積は土壌―植物間のRCs移行リスク低減に大きく寄与していたと考えられる
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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