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2016 年度 実績報告書

通性嫌気性細菌の中心代謝経路を制御するmRNAクロストーク

研究課題

研究課題/領域番号 16H06190
研究機関秋田県立大学

研究代表者

宮腰 昌利  秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (60755809)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード転写後調節 / サルモネラ / 大腸菌 / TCAサイクル
研究実績の概要

本研究は、古典的なセントラルドグマにおいて単にタンパク質の鋳型として考えられてきたmRNAが、他のmRNAと塩基対形成して発現を制御することが明らかにする。大腸菌やサルモネラをはじめとする通性嫌気性腸内細菌のTCAサイクル酵素群をコードするsdhCDAB-sucABCDオペロンmRNAの3'末端領域が、実際に酢酸キナーゼをコードするackA mRNAの翻訳開始領域と塩基対形成して、翻訳を抑制することを今年度明らかにした。さらに、GFP翻訳融合レポーターを用いた発現解析により、サルモネラではackAに加えて嫌気性フマラーゼをコードするfumBと、ackAに隣接する機能未知遺伝子yfbVが同様のメカニズムで制御されることを示した。しかしながら、大腸菌ではfumBとyfbVが塩基対形成領域の変異により制御されていないことを部位特異的変異導入により実証した。一方、大腸菌ではsucD 3'末端領域が新たにギ酸デヒドロゲナーゼをコードするfdoGとカタラーゼをコードするkatGと塩基対形成する塩基配列を獲得し、転写後レベルで制御していることを明らかにした。ackAはサルモネラ、大腸菌で共通して制御される遺伝子であり、特にSucDが誘導される酢酸を炭素源とする好気培養条件において顕著に発現が抑制されることをウェスタンブロットにより明らかにした。以上から、RNA制御因子の標的mRNAにおける変異の蓄積が転写後制御の欠落を、mRNAの3'末端領域における変異の蓄積が新たな標的mRNAの制御能の獲得を引き起こし、中心代謝経路のmRNAネットワークが多様化することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究課題1について当初の計画通り、大腸菌とサルモネラにおいてsdhCDAB-sucABCDオペロンmRNAの3'末端領域が、酢酸キナーゼをコードするackA mRNAの翻訳開始領域と塩基対形成して、翻訳を抑制することをが実証された。研究課題2では、当初予想していたサルモネラのfumBに加えて、大腸菌、サルモネラで異なる遺伝子セットが制御されるという予期していない結果を得ることができた。研究課題3に必要な変異株の作成を完了した。

今後の研究の推進方策

研究課題3について、作成した変異株の解析に加え、in vitro翻訳系の解析を行う。研究課題4は、2016年9月にMelamedらによって大腸菌のRNA相互作用領域を網羅する結果がMolecular Cellに発表されたため、予定していた部分は中断する。前年度に予定していた発現解析に用いるプレートリーダーを購入できなかったため、今年度購入する。これに伴い、今年度予定していた高解像度蛍光顕微鏡およびFISH用蛍光プローブの購入を来年度以降に延期する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] ヴュルツブルク大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ヴュルツブルク大学
  • [雑誌論文] 細菌におけるRNAによる転写後調節2016

    • 著者名/発表者名
      宮腰昌利
    • 雑誌名

      バイオサイエンスとインダストリー

      巻: 74 ページ: 482-487

  • [学会発表] 腸内細菌の中心代謝を制御するmRNAクロストーク2017

    • 著者名/発表者名
      宮腰昌利
    • 学会等名
      日本農芸化学会2017年度大会
    • 発表場所
      京都市、京都女子大学
    • 年月日
      2017-03-18 – 2017-03-20
  • [学会発表] 腸内細菌科における嫌気性フマラーゼ遺伝子fumBの転写後調節2017

    • 著者名/発表者名
      宮腰昌利、槇佳和子
    • 学会等名
      第11回日本ゲノム微生物学会年会
    • 発表場所
      藤沢市、慶應義塾大学
    • 年月日
      2017-03-02 – 2017-03-04
  • [学会発表] Crosstalk among bacterial mRNAs in trans controls central metabolic pathways2016

    • 著者名/発表者名
      宮腰昌利
    • 学会等名
      RNA2016
    • 発表場所
      京都市、国立京都国際会館
    • 年月日
      2016-06-28 – 2016-07-02
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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