平成29年度は、①FGF21の標的遺伝子の同定(マイクロアレイ実験)、②FGF21標的遺伝子の機能解析、③転写因子Xによる脂肪肝抑制能の解析、④脂肪肝による転写因子Xの発現制御機構の解析を行った。 ①FGF21の標的遺伝子の同定に関しては、脂肪肝誘発食(メチオニン・コリン欠乏食)を摂取させたFGF21欠損マウスと、アデノウイルスを用いたFGF21過剰発現マウスの肝像RNAを用いたマイクロアレイ実験を行った。解析の結果、FGF21により制御されうる遺伝子を複数同定した。リアルタイムPCRによる検証実験の結果、FGF21による発現変動を確認できた。 ②FGF21標的遺伝子の機能解析に関しては、各遺伝子の過剰発現またはノックダウンするアデノウイルスベクターを構築中である。今後、これらのアデノウイルスを用いて個体レベルの解析を行う予定である。一方、阻害剤が報告されている因子に関しては、ウイルスベクターの構築を行う前に、脂肪肝モデルマウスへの阻害剤の投与実験を行う。少なくとも一つの因子(因子A)に関しては、阻害剤投与により肝臓トリグリセリドの有為な変動が認められた。 ③転写因子Xによる脂肪肝抑制能の解析に関しては、転写因子Xの欠損マウスを用いてメチオニン・コリン欠乏食による動物実験を行った。2週間の摂取実験の結果、野生型マウスと転写因子Xの欠損マウス間の肝臓トリグリセリド量に有意な差は認められなかった。現在は、摂取期間を延長した実験を進行中である。 ④脂肪肝による転写因子Xの発現制御機構の解析に関しては、遺伝子発現解析の結果より転写因子Xの発現を制御する候補因子を同定しつつある。今後、候補因子による転写因子Xの遺伝子発現制御の詳細な解析を行う予定である。
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