研究課題
福島県の漁業は、原発事故から9年が経過した現在においても、水産生物の放射性セシウム(Cs)汚染の影響により、一部を除き操業休止を余儀なくされている。本研究の目的は、原発周辺も含め、福島県の海面および内水面に生息する魚類の生態特性に応じたCs 汚染実態の解明を目指すともに、本研究の成果を国内外に公表し、風評被害の払拭など、科学的根拠に基づく福島県の漁業再生に資することである。令和元年度は、昨年度に引き続き水産生物(海面・内水面)のCs汚染状況や漁業の復興状況について、学会活動や地域活動等を通じて積極的に発信した。具体的には、日本水産学会春季大会および秋季大会や、水産海洋学会、福島大学が主催する研究活動懇談会(京都市)や日本学術会議の公開シンポジウム等で発表した。また、福島県漁業協同組合連合会が運営する地域漁業復興協議会およびふくしまの水産物販売戦略会議に委員として参加し、原発や周辺環境の状況把握に努めるとともに、試験操業拡大化や好適な販売手法の確立に向けた討議に加わった。また、調査結果として、海面では、海産魚類のCs濃度が低い実態を明らかにするとともに、福島県の重要魚種であるホシガレイやヒラメ等のバイオロギング調査を行い、魚種ごとの移動範囲や季節ごとの行動特性を明らかにした。一方、内水面では、昨年度に引き続き原発周辺地域の渓流域や貯水池に生息する魚類(ヤマメ、イワナ、コイ、フナ類等)の調査を行い、これらの魚種のCs濃度が海水魚に比べて依然として高く、餌を介したCsの取込みの継続により、Cs濃度の低下が遅い実態を明らかにした。得られた成果の一部については、国際誌等を通じて公表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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