本研究の目的は、福島県の海面および内水面に生息する魚類の生態特性に応じた放射性セシウム(Cs)汚染実態の解明を目指すともに、本研究の成果を国内外に公表し、風評被害の払拭など、科学的根拠に基づく福島県の漁業再生に資することである。魚類の調査結果として、近年、海産魚類のCs濃度が一様に低いことを明らかにした。一方、原発周辺の渓流域や貯水池に生息する淡水魚のCs濃度が依然として高く、淡水魚では、食物網を介したCsの取込が継続している実態を明らかにした。研究成果を学術論文や講演会等で還元するとともに、漁業復興に関わる協議に加わり、海産魚類の出荷制限の全種解除など、福島県の漁業復興に寄与した。
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