本年度はGAS細胞の抗原レセプターの探索を行った。以前に行った抗原刺激後のGAS細胞の遺伝子発現解析の結果から、GAS細胞で発現上昇する膜型タンパク質をコードする遺伝子を探索したところ、合計で253の候補配列が該当した。そのうち、細胞外領域のサイズが妥当なもの、ドメイン検索で代謝系の酵素等に特異的な配列を含まないもの、発現レベルが一定以上のもの(FPKM値>100)をスクリーニングすると、最終的にレセプター候補と考えられる5つの配列が得られた。これらの中には、zymogen granule membrane 16 protein-like(ZG16L)およびその他4つの機能未知なUncharacterized proteinが含まれていた。ZG16Lは、糖タンパク質やマンノース(病原体の表面に普遍的に存在する分子)を認識するJacalin 様レクチンドメインを有しており、細菌由来LPSの認識に関与すると考えられた。そこで、これら遺伝子のGAS細胞による発現をreal-time PCRにより確認したところ、確かにZG16Lの遺伝子発現レベルは不活化菌体の浸漬投与後に上昇することがわかった。また、ニジマス各組織由来のcDNAを鋳型にRT-PCRを行ったところ、ZG16Lは鰓上皮に特異的に発現することがわかった。そこで、ZG16Lの組換えタンパク質について大腸菌の系を用いて作製を試みた。しかし、本研究課題では予想したサイズの組換えタンパク質の作製はできず、ZG16Lのリガンドの決定することはできなかった。
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