中国では食品安全問題が頻発しており、国民の「食品の質と安全性」に対する不満が急速に高まっている。本研究では、中国における「食品の質と安全性」に対する需要と満足度の現状およびそれらの決定要因を究明するため、選択実験の手法を用いて需要と満足度の地域格差および時間的変化の要因について多角的かつ重層的に検証する。ひいては中国における「食品の質と安全性」を改善し、消費者の満足度を向上させるための政策的示唆につなげる。 平成28年度には、まず「中国における食品安全性と品質ラベルの現状」と「選択実験を用いた消費者調査」に関する国内外の文献と資料の収集をおこなった。次に、本研究に必要な現地調査のための事前準備をおこなった。平成28年6月と平成29年1月に、現地協力機関である武漢大学質量発展戦略研究院を訪問し、打ち合わせをおこなった。主な目的は、今後の協力体制、質問票のデザイン、調査地の選定などについて話し合うためである。まずは、現地のスーパーマーケットや生鮮食料品店を巡り、実際に売られている食品の種類、価格、品質ラベルについて視察した。その結果、コメと豚肉に関して調査することに決まった。また、湖北省から経済発展レベルの異なる3市を選び、各市から8つの区町村を選び、それら区町村の行政組織から住民のリストを入手し、各住民リストから30世帯ずつ無作為に選ぶことに決めた。区町村との交渉および調整は質量発展戦略研究院が受け持った。調整のスケジュールや交渉の進め方など詳細についても確認した。
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