研究実績の概要 |
ペプチド結合を結合の長さと角度がよく似たクロロアルケン骨格に置換したクロロアルケン型ペプチド結合等価体を基盤として、アミロイド線維形成のモルホロジー制御に関する研究を展開した。
(1)複数のアルケン型ペプチド結合等価体によるp型水素結合のミミック効果の検証:Valを基本骨格として、複数のペプチド結合等価体(アルケン型、フルオロアルケン型、メチルアルケン型、トリフルオロメチルアルケン型)の化学合成について検討し、それぞれのアルケン骨格を有する化合物の合成に成功した。この化合物群と以前に合成したクロロアルケン型を同条件で分光学的に解析した結果, クロロアルケン型のみ良好なミミック効果を示すことが明らかになった。さらに、速度論的解析および自然結合軌道解析からもクロロアルケン型の良好なミミック効果を確認した。 (2)メチルアルケン型アミロイドペプチドの化学合成と応用:クロロアルケン型ペプチドミメティックで見られたアミロイド線維のモルホロジー変化の詳細について検討するために、同配列かつ同じペプチド結合をメチルアルケン骨格に置換したメチルアルケン型ペプチドミメティックを化学合成し、その凝集形態を原子間力顕微鏡によって解析した。また、構造的に再現性よくアミロイド線維を得るための培養条件の最適化ならびに観察プロセスについて精査した。 (3)アルケン型ペプチドミメティック触媒の合成と応用:Pro-D-Val配列を有するクロロアルケン型およびメチルアルケン型ペプチド結合等価体を合成し、不斉エポキシ化反応を触媒するペプチド触媒に応用することで、それぞれのアルケン型ペプチドミメティック触媒を化学合成した。さらに、これらペプチドミメティック触媒を不斉エポキシ化反応に応用することで、塩素原子が不斉触媒反応の遷移状態においても水素結合受容体として機能することを確認した。
|