研究課題
有機アニオン・カチオン性など構造の多様性に富む化合物を混合し、候補分子の強制発現細胞に振り掛け、37度インキュベート後、取り込み量をLC-MS/MSで一斉定量しmockと有意差のある化合物があるか否かを調査した。その結果、複数の化合物が積極的に排出あるいは取り込まれることをスクリーニングされた。SLC27A1は、ドコサヘキサエン酸、ビオチン、タウリンといった中枢に必須な化合物を、脳毛細血管内皮細胞のabluminal membrane側で排出輸送(脳へ供給)することが示唆された。血液脳関門の輸送機構だけでは説明できなかったものについては、血液クモ膜関門に焦点を当てた解析によって説明できることが示唆された。具体的には、OAT1, OAT3が脳脊髄液側細胞膜に局在することを示し、中枢から循環血液方向へ有機アニオンを輸送することを示唆した。MATE1が血液側、OCT2が脳脊髄液側細胞膜に局在することを示し、有機カチオンのベクトリアル輸送を行う機構があることを示唆した。このため、ヒト組織を用いて、血液脳関門だけでなく、中枢の薬物動態を支配する可能性のある血液クモ膜関門、血液脊髄関門および血液脳脊髄液関門について網羅的な絶対定量解析を行った結果、加水分解酵素や還元酵素およびトランスサイト―シスに寄与する可能性のある受容体群を発見した。LRP1やINSRは、脳皮質に比べて白質や脊髄の血管では、発現量が極めて少ないことが示され、INSRのモノクローナル抗体の脳移行性の部位差の報告を反映していた。さらに、発現量の単位を、組織1gあたりのmoleや血管の表面積当たりのmoleに変換することで、これまで説明できなかった、顕著な薬物脳移行性の種差を説明できるようになった((一例)altanserinのKp,uu,brainがラットに比べてヒトで21倍高い)。以上の研究成果から、従来不明であったヒトの中枢薬物動態のメカニズムが飛躍的に解明された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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