これまでに、in vitroの実験において、腸上皮細胞株に細菌(shigella flexneri)を感染させたところ、CDX2は腸上皮細胞内に侵入した細菌の増殖を顕著に抑制することを明らかにしている。本年度は、CDX2遺伝子改変マウスを用いて、マウス腸管に感染する病原性大腸菌による感染実験を行った。細菌感染には、Citrobacter rodentium、EHEC EDL933、EHEC 86-24を用いて経口感染させた。しかしながら、SPF環境下で飼育したマウスでは腸内細菌叢により、感染させた細菌が排除されて感染効率が低かったため、抗生物質(ampicillin、kanamycin)を自由飲水させ、常在細菌の排除を行った。3日間の抗生物質による前処理後、C. rodentium、EHEC EDL933を経口感染させ、感染後も抗生物質を自由飲水させ、糞便中の細菌数を数えた。その結果、CDX2遺伝子改変マウスにおける糞便中の細菌数は野生型に比べ多く、腸管での細菌の増殖、および排除にCDX2が関与している事がin vivoにおいて明らかとなった。 また、腸上皮細胞株の細胞質において、内因性のCDX2とATG7が結合することを明らかにしている。そこで、GST-CDX2のdeletion mutantを作製し、GST pull downによってATG7との結合部位の同定を試みた。Full lengthのGST-CDX2とATG7との結合は確認する事が出来たが、結合部位の同定については検討中である。
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