研究課題
若手研究(A)
血液中では、水に溶けにくい脂質はリポ蛋白という形で運搬される。リポ蛋白には、コレステロールを運搬する役割の他、細胞機能を修飾する多面的効果が存在する。本研究課題では、リポ蛋白には、リゾリン脂質という生理活性脂質が存在し、リポ蛋白代謝がリゾリン脂質の血中動態、作用を修飾することを明らかにし、また、リゾリン脂質が、リポ蛋白の多面的効果を表すバイオマーカーとして臨床検査へ導入できる可能性を明らかにした。つまり、リゾリン脂質に着目することにより、リポ蛋白の多面的効果を臨床応用できる可能性が示唆された。
臨床検査医学
現在の脂質関連の臨床検査では、LDLコレステロールやHDLコレステロールが広く使われているが、これらの検査のみでは、動脈硬化性疾患の発症を完全には予測できない。また、LDLコレステロールを標的とする内服薬のみでは、動脈硬化性疾患の発症を高々40%程度しか抑制できない。このような、現在の脂質異常症の診療の限界点を、本研究は、リゾリン脂質に着目することにより、克服できるのではないか、という可能性を初めて示した。