研究課題
肺炎は死亡原因の3番目に位置し、その96.9%が65歳以上の高齢者である。高齢者の肺炎の主な原因は誤嚥であり、加齢に伴う口腔・嚥下機能の低下により引き起こされる。高齢化が急速に進むわが国では、高齢者の肺炎及び口腔・嚥下機能低下への予防対策は日常的に取り組むべき重要課題の一つであるものの、それらの日常生活環境との関連については明らかではない。本研究では、離島の高齢者を対象に、舌圧測定による口腔機能の評価とソーシャルネットワーク・ソーシャルサポートを含めた生活環境を調査することにより、高齢化が著しく介護・医療資源が限られた離島地域での誤嚥性肺炎予防および口腔機能維持に影響する要因を複合的に明らかにすることを目的とする。口腔機能が嚥下機能のみならず、平衡感覚の維持などの身体活動やコミュニケーション手段として重要である点に着目し、高齢者の口腔機能維持の阻害または促進因子を、多角的に明らかにする。2年目である平成29年度には初年度選定した調査対象地域での調査を継続し、データ収集を行った。対象地域に居住する高齢者全員を対象とした同調査では、2年目に参加同意した者を含めると参加率87%となった。参加者には、質問紙による生活環境と健康に関する詳細な情報収集と、舌圧測定による口腔機能の把握等客観的な評価指標の収集を行った。収集データ分析結果については、複数の学会で発表し論文化を進めている。今後、2年目の追跡データを含めた分析と公表を行う予定である。なお、2年目の調査では、初年度の分析結果および、平行して行った地域健診受診者対象の別研究プロジェクトにおいて生活環境と舌圧値が有意に関連した分析結果を踏まえ、より詳細な情報収集に繋げることができた。今後も口腔機能に関する多角的な検証を行うと共に、全数調査という本調査の特徴を生かし、他の疫学データとの比較・検証を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
2年目の計画通り、選定地域で全対象者へ調査を継続実施し予定通り終了したこと、および、初年度同意が得られなかった対象者からも多数同意が得られ、同意取得率が87%に上昇したこと、2年目収集データのデータベース作成も完成していることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
2年目は、初年度と同じく計画通り順調に進展していることから、当初の研究計画に沿って本研究課題を推進する。ただし、初年度の状況を踏まえ、次年度の調査票の配布時期、調査の実施時期・方法の調整を行った結果、研究参加率が向上したため、これまでの状況を踏まえて更なる調整を図る。また、初年度および2年目のデータ集計・分析結果を基に、調査内容の修正に役立てる予定である。さらに、本研究目的の達成に有効である場合、他の疫学データとの比較・連携を行う予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件)
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