本研究は現地のNPO法人と連携してバングラデシュLohagora郡とDhamrai郡において、妊産婦、その家族及び母子保健・周産期ケアの提供者を研究対象とするクラスターランダム化比較試験を行って、モバイルプラットフォームと母子手帳の地域母子保健における利用の有効性と経済性を検証した。被験者の妊産婦は介入グループ1(モバイルと母子手帳)998人、介入グループ2(母子手帳)1001人と対照グループ1003人であり、合計3002人本研究に参加した。 本研究は研究をデザインした2015年と比べて新生児死亡率指標が改善したことを見つけた。研究結果は、対象グループと比べてモバイルと母子手帳の併用(介入1)、もしくは母子手帳の利用(介入2)は妊婦健診の4回以上の受診(介入1及び介入2)、産後・新生児ケアの受診(介入1及び介入2)、分娩時の医療施設の利用(介入1)を向上したことを明らかにした。特にモバイルと母子手帳の併用は必要な母子保健サービスの利用を改善したことが明らかになった。また、対象となる介入の費用対効果分析も行った。 研究成果は国内外の複数の関連学会(日本国際保健医療学会、日本疫学会、IHEA Congress 2019、ICBD 2020)と論文(公表済み2本、執筆中2本)を通して公表した。また、現地の保健行政へのフィードバックのほか、国際電気通信連合(ITU)、国際母子手帳会議などの関連イベントで発信した。
|