研究課題
本研究は法医解剖前のご遺体に対し、核磁気共鳴画像(MRI)検査を行い、解剖所見と比較検討し、死後コンピュータ断層撮影(CT)だけでは究明できない、頚髄損傷・心筋梗塞・肺塞栓などの死因を死後MRIによって究明できるか否かを検討することを目標としている。 平成31年度(以下、当該年度)は、研究代表者である槇野が、海外に留学していたため、新たな事例を蓄積する研究をはじめ、研究全般を半年間以上の長期にわたり、休止していた。このため、新たな知見を得ることはできなかったが、これまでの成果を一部まとめ、学会発表や論文発表は行った。具体的には、死後MRIによって死後CTよりも明瞭に検出できたと考えられる死因に関わる頭部外傷として軸索損傷の指摘についての考察や、遷延性一酸化炭素中毒を示唆する脳変化、外傷に伴った脂肪塞栓のMRIによる明瞭化などにつき、論文発表、学会発表を行った。また、直腸温の低い死体における、脳MRIの特徴的な死後変化と思われる画像所見について発表を行った。また剖検後に固定した脳や心臓のMRIの解析も可能な範囲で行った。肺塞栓については事例の頻度が少ないため、新たに固定後肺における検討も開始した。研究代表者の海外留学に伴う休止のため、当該年度が本来の研究最終年度だったが、次年度(令和2年度)まで延長する申請を行い、受理された。次年度では引き続き、事例の集積、解析を行うとともに、これまでの成果全体をまとめ、報告していく予定である。
3: やや遅れている
上述の通り、平成31年度は、研究代表者である槇野が、海外留学しており、実質的に新たな事例の蓄積などの研究が進められなかったため、本来最終年度であった本年度には当研究を終了させることができなかった。
上述の通り、本年度、本研究は研究代表者の留学により停滞したため、次年度へ延長を申請し、本年度に施行予定であった研究を次年度に行う予定である。事例数をさらに追加し、これまで得られてきた成果をより確定的なものにしていく。新たに見つかった課題などに対しては、その解釈や対応方法について、検討し、必要に応じてシークエンスを増やすなどしながら評価していく予定である。 研究協力病院においても引き続き、固定後臓器MRI撮影、血液サンプル撮影を行っていく。 適宜症例数が集まった時点で、各検討課題、新しい知見などについて、学会発表や論文報告を行っていく予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
International Journal of Legal Medicine
巻: 134 ページ: 669~678
10.1007/s00414-019-02128-8