• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

Comprehensive analysis of splicing regulation and splicing quantitative trait loci (sQTL) in brains of major psychoses

研究課題

研究課題/領域番号 16H06254
研究機関横浜市立大学

研究代表者

高田 篤  横浜市立大学, 医学部, 講師 (90643693)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード選択的スプライシング / ゲノム / GWAS / QTL / 統合失調症
研究実績の概要

平成28年度の研究では、精神神経疾患の明らかな罹患歴がない206人から取得した前頭前皮質サンプルのRNAシーケンスデータとゲノムワイドな一塩基置換(single nucleotide polymorphism: SNP)のデータの複合的な解析を行った。その結果、選択的スプライシングと有意に関連する量的形質座位(splicing quantitative trait loci: sQTL)をゲノムワイドに同定した。これらのsQTLは、エキソン領域や、ヒストン3の4番目のリジンのトリメチル化(H3K4me3)によって標識されるプロモーター領域に豊富に存在していた。
さらに、ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study: GWAS)のデータを用いた複合的解析を行い、sQTLはさまざまなヒト疾患と関連する遺伝子領域、特に統合失調症のリスク座位に有意に豊富に存在することを明らかにした。また4つの統合失調症関連座位(NEK4、FXR1、SNAP91もしくはAPOPT1を含む領域)では、ゲノムワイドな有意水準で統合失調症と関連するSNPと、sQTLのマーカーとなるSNPが強力な連鎖不平衡状態にあった。これらの統合失調症関連領域では、NEK4、FXR1、SNAP91もしくはAPOPT1の選択的スプライシングの調節障害が、疾患リスクに寄与している可能性が示唆された。これらの研究成果は、ゲノム、トランスクリプトーム調節の基本的理解を深める上で有益なリソースとなるのみならず、脳疾患の遺伝的構造の解明にも貢献しうるものである。
これらの研究成果をまとめ、Nature Communications誌に報告した(Takata et al., 2017)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画どおり、sQTLの網羅的同定をH28年度内に完了することができた。さらにその詳細な特徴・意義付けを完了し、研究成果を学術誌に報告することができたという点で、当初の計画以上に順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

H29年度は解析対象を罹患群(統合失調症群)に拡大し、罹患群と健常対照群で有意な差を認める選択的スプライシングイベントや、それらと関連する遺伝子多型・変異を同定することを目指す。また、より最近の研究によって注目されている、選択的スプライシングに影響を与えるディープイントロン(スプライスサイトから離れたイントロン領域)の変異についての予備的検討も計画している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Genome-wide identification of splicing QTLs in the human brain and their enrichment among schizophrenia-associated loci2017

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Takata, Naomichi Matsumoto & Tadafumi Kato
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: NA ページ: NA

    • DOI

      10.1038/ncomms14519

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ゲノム研究発展の長期展望2017

    • 著者名/発表者名
      高田 篤, 吉川 武男
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 30 ページ: 206-212

  • [雑誌論文] 統合失調症のエクソーム解析、その現在地2016

    • 著者名/発表者名
      高田 篤
    • 雑誌名

      分子精神医学

      巻: 16 ページ: 167-173

  • [学会発表] ゲノム研究でdisorderをdiseaseにする試み2016

    • 著者名/発表者名
      高田 篤
    • 学会等名
      第38回日本生物学的精神医学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      2016-09-09
  • [備考] [プレスリリース]統合失調症の新たな遺伝的メカニズムを解明

    • URL

      http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170227_3/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi