研究実績の概要 |
H29年度までの研究において、脳内で選択的スプライシングと有意に関連する量的形質座位(splicing quantitative trait loci: sQTL)を網羅的に同定し、そのリソースを作成した。さらに、ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study: GWAS)で統合失調症等と関連を認めた座位では有意にsQTLが多いこと、統合失調症とゲノムワイドな有意水準で関連する108の座位のうち4つで、関連SNPが脳sQTLとして働いていることを明らかにした(Takata et al., Nature Communications 2017)。上述の、脳神経系でsQTLとして働く統合失調症関連SNPのうち一部については、iPS細胞由来神経細胞を用いた、他グループからの独立した研究でも同様の所見が確認された。また、スプライスサイト近傍のエクソン領域の変異を含めて、自閉スペクトラム症患者で認めるde novo変異の統合的バイオインフォマティクス解析(ゲノムデータと遺伝子発現データ等の複合的解析)を行い、その結果を報告した(Takata et al., Cell Reports 2018)。統合失調症群と健常群で選択的スプラインイベントを比較した解析では、多重検定の補正を超えて有意な差を認めるイベントは同定されなかった。深部イントロンに存在し、選択的スプライシングに影響を及ぼすことによって疾患リスクに関与する変異について、RNA-seqを用いた予備的検討を行った。
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