研究課題
病因となる遺伝子変異の多くは特徴的な代謝変化を伴う。超偏極13C核磁気共鳴画像(MRI)は13C NMR信号を数万倍に励起することで、生体内の代謝反応をリアルタイムに可視化するMRIの最先端技術である。非侵襲的な癌転移巣の瞬時診断や、炎症部位の可視化など、その応用性が極めて高い反面、超電導磁石を必要とする13C励起装置の導入費用は数億円にも上る。本課題では、1)水素エネルギーを活用し、現行装置の10分の1のコストで導入可能な13C励起システムを開発する。この励起装置を用い、2)特異的な代謝変化を指標として、後天的に生じた遺伝子変異の体内分布を非侵襲的に可視化するMRI技術を創出する。最終年度である令和元年度は、まず、パラ水素誘起偏極型の13C励起装置の更なる偏極率の改善に取り組みながら、サイドアーム型の13Cピルビン酸励起における加水分解プロセスと、励起過程で生じる夾雑物質のフィルター除去プロセスを実装し、1.5Tの熱平衡状態に比べ13C MRI信号が4万倍に励起された超偏極13Cピルビン酸を生成できる装置を開発した。超偏極誘導した13Cピルビン酸を担がんモデルに投与し、乳酸脱水素酵素の遺伝子発現量に応じた乳酸の生成を確認した。がん抑制遺伝子であるフマル酸脱水素酵素の変異を検出するための超偏極13C分子プローブの設計と励起条件を検討し、調整できる濃度は5mMと低めながら10万倍以上のMRI信号の励起を達成し、正常マウスにおいて代謝イメージングが取得できることを確認した。一方で、昨年度に引き続き代謝MRIの高速撮像シーケンス開発にも取り組み、深層学習とテンソル分解を組み合わせた画像再構成法により、画質を維持したまま、撮像時間が5分の1に短縮された。本研究成果は令和元年9月の日本磁気共鳴医学会にて発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: - ページ: -
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