研究課題
2005年から2014年の期間に、国内4施設にて切除手術を受けた食道胃接合部癌(Siewert type I~III)を対象とした。いずれも術前化学療法や術前放射線化学療法をうけていない症例を選択し、パラフィン包埋切片からDNA抽出が可能となり、以下のcopy number assayが可能となった45症例を対象とした。KRAS遺伝子増幅の評価はReal-time PCR法にて、Taqman copy number assay (KRAS, Human)を用いて検出した。TaqMan Copy Number Reference Assay, (RNase P, Human)、およびTaqMan Copy Number Reference Assay, (TERT, Human)を用い、KRAS copy numberはその比率(KRAS/RNaseP、もしくはKRAS/TERT)を用いて評価した。まず、KRAS/RNasePとKRAS/TERTの検討を行った。KRAS copy numberは3回計測した平均値を採用した。カットオフ値は2.7に設定した。4例を除く41例において、91.1%の高い一致率で、KRAS/RNasePとKRAS/TERTの二つのKRAS遺伝子増幅の有無が一致した。TERTは悪性腫瘍においてその遺伝子コピー数異常が指摘されていることから、今回の検討においてはRNasePをreferenceと用いることとした。次に、我々は、KRAS遺伝子増幅が実際のKRASタンパク発現に関与しているかどうかを検討したところ、KRAS遺伝子増幅あり群35症例のうち、17症例(38%)において免疫染色によるKRASタンパクの過剰発現を認めた。KRAS遺伝子増幅なし群よりも有意に高率であった(P<0.05)。以上より、食道胃接合部腺癌におけるKRAS遺伝子増幅異常を検出する上で、我々のKRAS copy number assayの妥当であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
計画はおおむね順調に推進しており、引き続き推進する。
国内4施設のサンプルを用い、免疫染色症例を増やし、さらにFISHも追加し、今回の我々のKRAS遺伝子増幅異常検出法が妥当かどうかを検討する。さらには、臨床病理学的因子、他のRAS-RAF系遺伝子異常としてのmutationを検討し、遺伝子増幅との関係性を検討する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Langenbecks Arch Surg.
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巻: 4 ページ: 520-530