研究課題/領域番号 |
16H06264
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下村 和範 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (40755998)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 半月板 / 間葉系幹細胞 / 膝関節 / 整形外科 / スキャフォールド / エレクトロスピニング法 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度(研究活動スタート支援)に作成した家兎膝関節内側半月板欠損モデルを用いたスキャフォールドの移植実験を行った。スキャフォールドは、エレクトロスピニング法にてε-カプロラクトン及びポリエチレンオキサイドをハイブリッドさせ作成した。後述する細胞は、膝関節内の滑膜組織より間葉系幹細胞を採取し、3~5回程度継代したものを用いた。実験計画に従い内側半月板へ欠損を作成し、コントロール群(未治療群)、スキャフォールド群(損傷部をスキャフォールドで被覆・固定)、細胞・スキャフォールド群(滑膜由来間葉系幹細胞を播種したスキャフォールドを損傷部へ被覆・固定)の手術を行った。当初、術後6ヶ月のフォローも検討していたが、術後3ヶ月のコントロール群に於いて、損傷半月板と相対する軟骨部の変形性関節症の進行が認められ、軟骨保護作用の評価として3ヶ月で十分であると判断されたため、飼育期間を1、2、3ヶ月へ変更した。現在、コントロール群、スキャフォールド群の1、2、3ヶ月群の手術が終了しており、細胞・スキャフォールド群は1ヶ月群の手術が終了している。1ヶ月での比較では、損傷半月板は、細胞・スキャフォールド群がより半月板様組織として修復されており、軟骨保護作用に於いても他群より良好な結果が得られている。以上より、術後短期(1ヶ月)に於いて、細胞・スキャフォールド群の有用性が示されており、今後、残りの家兎手術を完了させ、解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の半月板欠損に対するスキャフォールドの縫合・固定方法の検討を要したため、実験計画がやや遅れる結果となった。検討の結果、現在、スキャフォールドは、複数の非吸収糸を用い、半月板実質及び関節包を一塊として縫合することで、スキャフォールドが浮き上がることなく、良好な固定が得られており、安定した手術が可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、残りの家兎手術を予定しており、合わせて解析(半月板の修復、軟骨保護作用など)を予定している。ついで、当初の実験計画に従い、3、4年目の大動物実験に先立ち、ブタ屍体膝を用いた手術のシミュレーションを予定している。合わせて、ブタ間葉系幹細胞(骨髄あるいは滑膜由来)とスキャフォールドの親和性、線維軟骨への分化能の評価を行う予定である。
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