研究課題
1) RPモデル動物であるrd10マウスの末梢血を経時的に解析し、WTマウス末梢血と比較して、Ly6c, Ccr2, Cx3r1の発現が上昇した単球が増加していることを見出した。また網膜変性早期から中期にかけて持続的に増加していることも分かった。網膜内では網膜変性早期には炎症促進型(M1)、抗炎症型(M2)のミクログリアが増加し、網膜変性中期以降では炎症促進型(M1)のミクログリアが主に増加することを明らかにした。2) 蛍光物質(FITC)を封入したナノ粒子製剤をrd10マウスに静脈内投与し、単球内への効率的な取り込みをフローサイトメトリーで確認した。スタチン封入ナノ粒子製剤をRPモデル動物であるrd10マウスの静脈内投与することで、網膜の活性型ミクログリアが減少し、視細胞死が抑制されることが分かった。スタチン封入ナノ粒子製剤のrd10マウス単球に対する影響(表面マーカーの変化)を現在検討中である。またピタバスタチン内服(臨床使用濃度・高農度)では、ナノ粒子製剤投与と比較して効果は劣るものの、網膜炎症/細胞死抑制効果が得られることが分かった。3) RP患者から書面で同意を取得した後に、末梢血を採取・単球を分離した。現在CD14(炎症型), CD16(抗炎症型)のフローサイトメトリー解析に向けて、予備実験を行なっている。またスタチン内服中のRP患者とそれ以外のRP患者の視力予後を解析し、スタチン内服中のRP患者では視力が低下(0.3以下)する症例が少ない傾向にあることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
信頼性のある評価系の確立(フローサイトメトリー、網膜の炎症細胞/視細胞の計測法など)に時間を要したが、当初の計画の80%以上は予定通り実施することができた。またプレリミナリーな実験で確認していたスタチン封入ナノ粒子製剤の網膜炎症/変性抑制効果についても、複数の実験者で確認することができた。
1) 当初の実験計画に則り、RPモデルでの末梢中炎症性単球の役割をadoptive transferで確認する。またCCR2やMCP-1を欠失したrd10マウスを用いて、炎症性単球の役割を検討する。2) ナノ粒子製剤の静脈内投与に加えて、眼内局所投与での効果についても検討する。また作用機序についても明らかにし、九州大学の知財部や企業とも連携しながら、特許出願を目指す。3) RP患者末梢血を用いて、炎症性マーカーの変化についてフローサイトメトリーで検討する。またナノ粒子製剤の炎症性マーカーへの作用についても検討する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
JCI Insight
巻: 1 ページ: e87781
10.1172/jci.insight.87781
Invest Ophthalmol Vis Sci.
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10.1167/iovs.16-19686