研究課題
本申請研究では,歯と歯の周りを構成する組織の破壊と骨の吸収を特徴とする歯周炎に対し,内因性の抗炎症分子Del-1(Developmental endothelial locus-1)を応用するために,Del-1の生体作用機構を明らかにし,歯周炎の病態憎悪への影響を検索した.3カ年の最終年度研究計画推進により,Del-1はドメイン依存的に抗炎症作用と骨吸収抑制作用をもつことを明らかにした.すなわち,血管内皮細胞から産生されたDel-1は骨を溶かす機能を持つ細胞である破骨細胞の表面に存在するインテグリン受容体Mac-1とavb3以外にもチロシンキナーゼ受容体であるRor2に拮抗的に作用することが解明された.次に,Del-1を生体内で調節が可能かどうかを検索した.Del-1は加齢とともに減少する.さらに性差が存在し,男性に多く,女性に少ない傾向が認められる.これは,女性に多く認められるリウマチ性関節炎や骨粗鬆症にDel-1が関連している可能性が考えられる.Del-1を自律的に生体に誘導できることができれば,自然におきる炎症(自然炎症)や骨疾患,ロコモへの対策の一つをなり得る.そこで,様々な薬剤を試したところ,ホルモン剤(DHEA:デヒドロエピアンドステロン)の他にマクロライド系抗菌薬においてDel-1が誘導されることを新規に明らかにした.さらに同抗菌薬は,炎症によって発現が減少したDel-1を補完する働きがあることも明らかになった.つまり,マクロライド系抗菌薬が持つとされていた免疫調節作用の一つの作用機序としてDel-1の存在が考えられる.さらに,本申請研究によりDel-1誘導に対して血管内皮細胞の表面作用受容体が同定された(Trka受容体).以上のことから,抗炎症と骨吸収抑制機能をもつDel-1を,減少した生体内で安全な薬剤によって誘導することで治療へ行かせる可能性を見出した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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