研究実績の概要 |
本研究は、①セメント芽細胞のマーカー遺伝子を同定し、同細胞の分化誘導条件を決定するとともに、master regulatorを探索する、②セメント芽細胞特異的Cre driverマウスを作製し、細胞系譜解析によりセメント質の恒常性維持および組織損傷時の再生機構を明らかにする、ことにより、cementogenesisを正しく理解し、新規歯周組織再生治療法の開発につながる基盤情報を得ることを目的としている。本年度は主に以下の3つの成果を得た。 (1) セメント芽細胞マーカーの同定に関する成果:粘着テープ法を用いて作製したマウス非脱灰新鮮凍結組織切片から、高出力レーザーマイクロダイセクションを用いてセメント芽細胞、骨芽細胞を回収し、RNA抽出を行い、RT-PCR法にて骨芽細胞マーカー遺伝子群(Runx2, Sp7, Spp1, Sparc, Bglap)およびセメント芽細胞マーカー候補遺伝子(Hacd1, Ctgf, Dspp, Ano5)の遺伝子発現を比較検討した。さらに同遺伝子群をViewRNA・超解像度ISH法にて組織切片上で発現を確認した。 (2)セメント芽細胞特異的Cre driverマウスの作製に関する成果:HiFi assemblyを用いた分子クローニングを行い、上記セメント芽細胞マーカー候補遺伝子のプロモーター下に蛍光タンパク質を挿入したプラスミドを作製した。 (3)セメント芽細胞のmaster regulator探索に関する成果:培養歯根膜細胞中の上記セメント芽細胞マーカー候補遺伝子をcrispr/cas9を用いてゲノム編集によりノックアウトを行った。設計したgRNAを蛍光レポーターおよびCas9一体型のベクターにクローニングを行い、Neonエレクトロポレーションシステムを用いて細胞中に導入し、蛍光レポーターを発現した細胞をセルソーターSH800Zを用いて単離した。
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