研究課題
本研究課題は、 ①セメント芽細胞のマーカー遺伝子を同定し、 同細胞の分化誘導条件を決定するとともに、 master regulatorを探索する、 ②セメント芽細胞特異的Cre driverマウスを作製し、細胞系譜解析によりセメント質の恒常性維持および組織損傷時の再生機構を明らかにすることにより、cementogenesisを正しく理解し、新規歯周組織再生治療法の開発につながる基盤情報を得ることを目的としている。本年度は主に以下の3つの成果を得た。(1)セメント芽細胞マーカーを同定するためにマウス上顎骨のパラフィン切片よりレーザーマイクロダイセクションを実施し、歯根膜全体、歯根膜中の歯槽骨に沿った一層の細胞群(骨芽細胞)、歯根膜中の歯根に沿った一層の細胞群(セメント芽細胞)をそれぞれ分取し、RNA-seq解析およびLC-MS/MSによるショットガン解析を行った。同定された遺伝子/タンパク質のうち、骨芽細胞およびセメント芽細胞間で発現差のある18分子を見出した。(2)石灰化誘導培地で培養した際に石灰化ノジュールを形成しやすい歯根膜細胞クローンと形成しにくい歯根膜細胞クローンの遺伝子発現を検討したRNA-seq解析(前年度に実施)により見出した、歯根膜細胞のセメント芽細胞へのcommitmentを制御する因子候補であるZbp1、Osr1遺伝子の歯根膜細胞における機能解析を行った。CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集とシングルセルソーティングにより同遺伝子のノックアウト歯根膜細胞株を作製し、石灰化誘導培地で培養した際の分化能を検討したところ、Zbp1ノックアウト細胞では高組織形成細胞への分化が遅延することが明らかとなった。3.新規ノックインマウスターゲティングベクター導入ES細胞のPCRおよびサザンブロットによる相同組換えES細胞の選別が完了し、キメラマウスの作出が完了した。以上の得られた結果を取りまとめ、 国内外の学会で発表を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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