研究課題/領域番号 |
16H06296
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
馬 建鋒 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (80260389)
|
研究分担者 |
山地 直樹 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (00444646)
三谷 奈見季 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (40581020)
菅 倫寛 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (60634920)
櫻井 玄 国立研究開発法人農業環境技術研究所, 生態系計測研究領域, 任期付研究員 (70452737)
宮地 孝明 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 准教授 (40550314)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-26 – 2021-03-31
|
キーワード | イネ / 輸送体 / 結晶構造 / モデリング / ミネラル / ソバ |
研究実績の概要 |
イネからミネラル輸送に関与する遺伝子を幾つか同定した。そのうちの一つは、節で高発現する新規リン輸送体SPDTで、肥大維管束と分散維管束の木部柔細胞の細胞膜に局在していた。この遺伝子を破壊すると、リンの吸収への影響はほとんどなかったが、新葉や種子へのリンの分配が減少した。その結果、種子中のリン濃度、特にフィチン酸の濃度が野生型イネと比べ、20-30%減少した。そのほか、種子への銅の集積に関与する輸送体OsHMA4,種子への鉄の分配に関与するクエン酸輸送体OsFRDL1などを同定し、その機能を解明した。またソバからアルミニウムの無毒化に関与する遺伝子IREG1を同定した。IREG1は液胞膜に局在し、その発現量はアルミニウムによって特異的に誘導された。シロイヌナズナで過剰発現させると、アルミニウム耐性が改善された。さらに、輸送体遺伝子の発現調節機構に関して、イネの地上部のケイ素集積がケイ酸輸送体遺伝子の発現調節に重要であることを示した。またアルミニウム耐性に関わるクエン酸輸送体遺伝子OsFRDL4の発現調節には、プロモーター上のレトロトランスポゾン様配列の挿入が関わっていることを突き止めた。導入したLA-ICP-MSを活用して、植物組織、特にイネの節でのミネラルの分布を観察する方法を確立した。 輸送体の結晶構造解析に関して、ケイ酸輸送体Lsi1とマンガン輸送体Nramp5の大量発現、精製する系を確立し、結晶化に着手した。1Lの培養から1mgの精製Lsi1が得られた。 数理モデルの開発に関しては、様々な因子を考慮に入れたケイ素の植物体全体における動態数理モデルを構築した。また根におけるミネラル輸送を3次元でシミュレートするモデルを開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
NatureやNature Communicationsなどに発表し、当初計画より着実に成果を上げている。
|
今後の研究の推進方策 |
共同研究者と緊密に連携して、作物のミネラル輸送システムの解明に地道に取り組みたい。
|