研究課題
本研究の目的は、心的表象を自由に操作する能力の発生過程を、広範な種比較と発達比較により実証的に解明することである。2020年度の主な成果を以下に記す。1)フサオマキザルは、未来の状態に応じて記憶戦略を調節することが難しいことを示した。2)ネコは飼い主の声がする方向からその位置を捉えていることを示した。3)一か所に餌をため込むlarder-hoarding型のシリアンハムスターが、空間学習において複数の情報を使うことを学習できることがわかった。4)フサオマキザルは、他個体からの積極的な要求行動がなければ援助行動を行わないことを示した。5)イヌはヒトが報酬を食べる(ふり)をすると、その動作に引き寄せられて判断を誤ることがわかった。6)コミュ―(ロボット)が社会的な存在である第三者として関与することで、乳幼児の社会性を高めることに効果的に作用するかを検討した結果、4歳児では同調のしやすさの個人差による影響が強いことが示唆された。7)心の理論に関する総説を発表した。8)類人猿二種にオキシトシン投与実験を行った結果、ボノボではアイコンタクトを促進させるが、チンパンジーでは影響がないことがわかった。9)京都市動物園内のチンパンジーとゴリラの学習室に設置したネットワークカメラにより、学習に参加する個体の同定を機械学習によって行うシステムを構築し、ゴリラの子供も着実に学習研究に参加していることを確認した。上記の成果は、ヒトを含む動物の柔軟な心的表象操作に関わる新たな知見であり、心の自立性の発生過程を考察する上で重要な資料となる。なお、2020年度は本研究課題最終年度であることから、国際シンポジウムを企画していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により断念した。それに代わり、本研究課題に関連する内容を含む書籍(“Cognitive Cognition”)をSpringer社から発行した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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