研究課題/領域番号 |
16H06304
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
緒方 広明 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (30274260)
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研究分担者 |
魚崎 典子 大阪大学, 国際教育交流センター, 特任准教授(常勤) (00721523)
山田 政寛 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (10466831)
殷 成久 神戸大学, 情報基盤センター, 准教授 (20512180)
西岡 千文 京都大学, 附属図書館, 助教 (20801187)
上田 浩 法政大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (30375159)
毛利 考佑 京都大学, 学術情報メディアセンター, 講師 (60796001)
木實 新一 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70234804)
島田 敬士 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80452811)
杉本 雅則 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90280560)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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キーワード | 教育ビッグデータ / ラーニングアナリティクス / 教育データ科学 / ダッシュボード / 教育データ利活用 / ユーザモデル / 個人適応 |
研究実績の概要 |
本研究では、授業内外(フォーマル・インフォーマル)の教育・学習活動のログを全て蓄積し、成績や履修情報等と統合することにより、教育ビッグデータを構築し、教育・学習を支援するためのクラウド情報基盤を研究開発する。これは、従来の学習分析(Learning Analytics)の研究のように、単に分析で終わるのではなく、分析結果を即座に教育・学習の現場で利活用して、教育・学習を改善し、さらにその後もデータを収集・分析して、効果を検証するという過程を循環させるものである。2020年度は、以下の研究を行った。 (1)【データ収集】教育・学習プロセスのデータとして手書き回答などの多種多様な情報もデータとして取り組める枠組みを提案した。(2)【データ統合】ブロックチェーン技術を用いて、初等中等高等教育などの異なる組織間でデータ統合を可能する仕組みを提案した。(3)【データ分析】学習者の予習・復習の学習パターンと自己調整学習(self-regulated learning)との関係を分析した。また、過去の学生の学習ログから、協調学習のためのグループ編成を支援する機能を開発した。(4)【データ可視化】教員や学生にも使いやすいユーザインタフェースをもつ、データの可視化分析ツールを開発した。(5)【教育的インタラクション】個人適応技術を用いて問題の推薦を行う機能を開発した。(6)【システム開発】去年度までの開発システムをさらに拡張・改良して、実証実験した。(7)【オープンデータ化】匿名化等の適切な処理をしてオープンデータ化する手法を検討した。(8)【実証評価】京都市内の小中高等学校にてシステムを評価した。また、海外の研究協力者を通じて、海外の大学でもシステムを評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年12月、教育的インタラクションを実装しようとしたところ、当初の想定に反し、研究内容が近い専門家より 、「エビデンスに基づく教育」を踏まえた教育的インタラクションを目指さなければ、データ分析の結果を学習者に伝えて教育効果を高めることはできないと指摘を受けた。研究遂行上、追加でエビデンスの利活用方法の調査、設計、開発、評価を行った上で、教育的インタラクションを実装する必要が生じたため、4ヶ月の遅延が生じたが、これらの手法を用いて、数多くの研究論文を発表することができた。この点において、本研究は、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、進捗状況で述べたように、研究の途中で変更はあったものの、研究開発や研究業績については、大変順調に進んでいる。また、ギガスクール構想の推進により国全体で教育データを利活用してラーニングアナリティクスを推進する動きもあるため、来年度以降は、さらに研究成果をあげることができると期待できるものと考えている。
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