研究課題
ヌクレオチド除去修復(NER)のDNA損傷認識を制御するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の役割と分子機構について、詳細な解析を進めた。クラスI HDACに属するHDAC1及びHDAC2が、色素性乾皮症C群(XPC)タンパク質のDNA損傷部位へのリクルートの促進において重複した機能を持つこと、HDAC1/2の活性化因子として知られるMTA(metastasis-associated)タンパク質ファミリーがHDAC1/2とともにDNA損傷部位にリクルートされ、ヒストン脱アセチル化の誘導に関わることを示した。さらに、LacO-LacRテザリング系を利用することで、局所的なヒストン脱アセチル化がDNA損傷非依存的なXPCのリクルートに十分であることが明らかになった。このことは、ヒストン修飾を介したXPCの細胞内局在及びNERの人為的制御につながる可能性がある画期的な知見である。これまでに、XPCの中央部に存在する天然変性領域がヒストンH3のN末端テールと相互作用し、ヒストンのアセチル化によってこの相互作用が著しく減弱すること、この天然変性領域の欠失によってXPCのDNA損傷部位へのリクルートやNER活性が低下することがわかっている。高アセチル化状態のクロマチン領域でDNA損傷が発生した場合、1)HDAC及びMTAのリクルートとヒストンの脱アセチル化、2)非アセチル化ヒストンとの相互作用を介したXPCのリクルート、3)DNA損傷部位周辺における局所的なXPCの濃度上昇、が引き起こされることでXPCがDNA損傷に遭遇する確率が高まり、効率的なNERの開始につながるのではないかと考えている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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iScience
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https://www.research.kobe-u.ac.jp/brce-sugasawa/