研究課題
1. 骨・軟骨再生誘導シグナルネットワークとシグナル因子送達法の最適化:これまでに取得したChIP-seq, RNA-seqおよびATAC-seqデータを用いた統合解析により、骨・軟骨再生誘導シグナル因子候補を複数得た。胚性幹細胞の分化培養系を用い、骨発生において重要な、BMP、Hedgehog(Hh)、Wnt、FGFの4種類のシグナル経路に着目して、それらのシグナル活性を調節する低分子化合物を中心に検討を進めた。その結果、マウス胚性幹細胞由来の中胚葉細胞を、Hhシグナル活性化剤SAGと骨形成性低分子TH(ヘリオキサンチン類縁体)で処理することで、骨芽細胞が三次元培養中で誘導され、骨組織様オルガノイドを形成できることを見出した。同様に軟骨再生に関しては、低分子化合物TDが軟骨再生に有効であることが明らかになってきた。2. 足場素材の三次元形状制御方法の最適化:三次元プリンターを用いた臨床ニーズに即した詳細な検討を行った。本システムの基盤となる技術であるリン酸カルシウムを3Dプリンターで造形した世界初の人工骨(CTボーン)については、2018年4月17日に厚生労働省より製造販売承認を取得し(承認番号:23000BZX00099000)、2018年5月31日には保険適用が開始された。3. 高機能ハイドロゲルユニットの開発と四次元足場システムの創製:組織再生用ハイドロゲルユニットの基本仕様を固め、その細胞浸潤性をin vitroとin vivoで検証した。骨形成性シグナル活性化合物を搭載した四次元足場システムのプロトタイプを作製した。4. 動物実験による四次元足場システムの機能検証と再生メカニズムの解析:四次元足場システムのプロトタイプの性能の検証を、マウス骨欠損モデルで開始した。
2: おおむね順調に進展している
全ての項目において、ほぼ計画通りあるいは一部前倒しで進行しているため
足場素材の三次元形状制御方法の最適化・高機能ハイドロゲルユニットの開発と四次元足場システムの創製に関して、構造の精密な制御を目指しつつ、その構造と細胞・組織との相互作用を調査する。動物実験による四次元足場システムの機能検証と再生メカニズムの解析に関しては、臨床場面とそれに対するデバイスを想定したマウスモデルによる基礎評価と再生メカニズムの解析に重点を置く。具体的には、大腿骨骨・軟骨欠損モデルを用いた検討を計画している。申請者らは本モデルの基本技術を既に確立している。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 産業財産権 (1件)
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