研究課題/領域番号 |
16H06312
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鄭 雄一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30345053)
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研究分担者 |
大庭 伸介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20466733)
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
北條 宏徳 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (80788422)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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キーワード | 統合インターフェース |
研究実績の概要 |
骨・軟骨再生誘導シグナルネットワークとシグナル因子送達法の最適化のため、2018年度のマウス胎生幹細胞を用いた解析に加えて、2019年度はヒトiPS細胞を用いたヒト骨芽細胞分化系においても検討を行った。その結果、マウス実験で明らかになったSAGとTHの処理後に、THとGSK阻害剤(Wnt活性化剤)CHIRの組み合わせを段階的に処理することでヒト骨芽細胞が誘導されることが明らかになった。またヒトiPS幹細胞から軟骨細胞への分化についても段階的な薬物刺激が効率的であることを見出した。 これまでに最適化した組織再生用ハイドロゲルユニットが良好な細胞侵入性を示したため、本材が組織修復時の再生の場を確保し、骨組織を誘導することで足場素材のみで組織誘導再生を達成できるのではないかと仮説を立てた。仮説の検証のため、成獣マウス頭蓋部に作製した臨界骨欠損(直径4 mm)をon site gelationによりTetra-PEGスポンジで被覆し、無処置群、Tetra-PEGゲル被覆群と比較して、12週間にわたって骨再生効果を検証した。X線マイクロCT解析において、術後4週よりTetra-PEGスポンジ群でのみ旺盛な骨再生が認められ、その量は経時的に増加した。Tetra-PEGスポンジ群における再生骨量はTetra-PEGゲル群と比べて有意に増加していることが明らかとなった。術後12週サンプルの組織学的解析から、Tetra-PEGスポンジ群においては、細胞がスポンジ内部に侵入し、骨再生が一部スポンジ周囲のみならずスポンジ内においても誘導されていることが明らかとなった。 動物実験による四次元足場システムの機能検証のため、大腿骨骨・軟骨欠損モデルを用いた検討を開始した。また、再生メカニズム解析のため、骨再生に寄与する体性幹細胞を標識する遺伝子改変マウスを用いた骨欠損モデルの作製を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに進行しているため
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今後の研究の推進方策 |
シグナル因子の担持・遊離方法の最適化と、最適化されたシグナル因子搭載型Tetra-PEGスポンジの骨格再生効果の検証を中心に進めていく。これにより、組織再生用ハイドロゲルユニットの持つ骨伝導能のさらなる拡大、あるいは骨誘導能の具備が可能か検証する
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