天然のDDS(薬物送達)ナノキャリアであるウイルスが進化の過程で獲得した(1)免疫系による排除機能から逃げる強力なステルス能、(2)目的臓器・細胞への高い能動的標的化能、(3)目的細胞内への効率的な侵入能、(4)薬剤が薬効を発揮するための細胞質内移行能などを担う機能ドメインを同定し、これらの能力を併せ持つ「薬剤の生体内時空間的制御を精密に行うDDSナノキャリア」の開発を行った。また、標的化分子の効率的選抜法、キャリア表面への精密提示法などの関連技術の開発も行った。本研究成果は、ウイルスの解析を通して、全ての能力を有するDDSナノキャリアを初めて開発した点に学術的意義がある。また、本技術が実用化されれば、医療経済の改善にも大きく役立つ。
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