研究課題
* 2016-2018年に収集したデータ解析では、背景事象数を(0.05±0.02)と予測していたのに対し、3事象を観測した。その後の調査で新たに2種類の背景事象があることが判明した。一つは、中性KLのビーム中にわずかに混在する荷電K+がπ0eνに崩壊し、eが上流に飛んで観測されない背景事象である。2020年には特殊な条件でデータを収集し、K+がKLの2.6×10^{-5}倍混在していることを明らかにした。もう一つは、上流のビームラインで散乱されたKLが2個のγに崩壊し、それをπ0の崩壊と見誤ることによる背景事象である。そこで散乱されたKLの量をKL→3π0崩壊を用いて測定した。これらの結果を元に、背景事象数を1.22±0.26と見積もり、KL→π0ννの崩壊分岐比に対して<4.6×10^{-9}(90%CL)という上限値を与える論文をPhysical Review Lettersに発表した。論文はEditor’s Choiceに選ばれた。* 背景事象の削減:散乱KL→2γの背景事象に対しては、これを2016-2018年のデータ解析より約1/25倍に削減する解析手法を開発した。荷電K+による背景事象に対しては、ビーム中の荷電粒子を検出する、厚さ0.5mmのシンチレーションファイバーを並べた測定器を開発して設置した。その上で2021年度には2016-2018年のデータと同程度の統計量のデータを収集した。* 0.5mmの厚さのファイバーでも、他の検出器に影響を与えるため、さらに薄い、厚さ0.2mmのビーム中のシンチレータ板を用いた荷電粒子検出器を開発した。シンチレータから外に漏れ出た光を集めるという新しい方法を用いる。雛形を用いて性能は確認しており、実機は2022年度に設置する。* その他:KL→π0γの崩壊分岐比に対して初めて上限値を与える論文を発表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (46件) (うち国際学会 19件、 招待講演 6件) 備考 (2件)
Physical Review Letters
巻: 126 ページ: 121801 1~7
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
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