研究課題
太陽系形成の最初期に内側太陽系で高温ガスからの固体凝縮プロセスや加熱による固体溶融プロセスがあったことは,始源的隕石中の難揮発性包有物(CAI やAOA)の存在から明らかである.惑星材料物質が経験したこの高温プロセスは,原始星や原始惑星系円盤の天文観測でも観測されておらず,その物理化学環境はいまだにはっきりとしない.本研究では,難揮発性包有物の同位体岩石学・鉱物学的研究に,室内実験による難揮発性包有物の再現実験を組み合わせ,太陽系最初期の高温プロセスの物理化学環境を定量的に制約する.特に本研究により,原始惑星系円盤内縁領域の圧力条件,水蒸気分圧とガス/ダスト比が新規決定できることが期待される.本年度は以下の研究成果が得られた.1.CAI組成メルトの低圧下結晶化実験・酸素同位体交換実験低水素圧条件での模擬CAIの溶融・結晶化実験において水素圧力,加熱時間を系統的に変化させた実験をおこない,CAI模擬物質の組織,構成鉱物化学組成に対する蒸発の影響を求めた.低水蒸気圧および低CO蒸気圧でのCAI模擬物質の溶融・結晶化における酸素同位体交換実験をおこなった.これらの実験で作成した模擬CAIと天然CAIの鉱物学岩石学・酸素同位体分布の観察・分析から,天然CAIを説明するガス圧力を求めた.2. CAIの鉱物学岩石学・酸素同位体分布の観察・分析細粒CAIの鉱物学岩石学・酸素同位体分布の観察を継続した.この観察と実験で推定される凝縮挙動を組み合わせ,メリライトの結晶成長する温度,圧力を求め,Al-Mg年代によりCAIの生成期間を求めた.成中にガスの酸素同位体組成が変わったことも発見し,実験で得る酸素同位体交換反応速度を合わせ,形成場のガスの酸素同位体変化の時間スケールを制約した.以上の実験で求めた速度論データと隕石の分析結果を融合し,太陽系最初期の高温プロセスの物理化学環境を決定した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 19件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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