研究課題/領域番号 |
16H06358
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山内 和人 大阪大学, 工学研究科, 教授 (10174575)
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研究分担者 |
松山 智至 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10423196)
佐野 泰久 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (40252598)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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キーワード | 超精密加工 / X線集光 / X線ミラー / 形状可変ミラー |
研究実績の概要 |
本年度は,目的達成のための要素技術である以下の5つの項目を中心に実施した.①XFEL照射に対応可能な大面積ナノ精度加工の高度化,②形状可変ミラーの設計・作製,③形状可変ミラーの形状安定化法の確立,④集光X線波面の計測と補償光学に基づくミラー形状の創生. ①:数値制御EEM法や差分成膜法によって,ミラー上に存在する不要なうねり(ミラー変形では対応できない高空間周波数なもの)を除去する手法を確立・高度化した.これによって形状可変ミラーとして十分な精度を持つミラー基板を得ることができた. ②圧電バイモルフミラーと機械式ベント機構を持つハイブリッド形状可変ミラーを提案した.また,これを有限要素法に基づいて最適に設計した.形状可変ミラーのプロトタイプを作製し,干渉計を使って形状可変ミラーの性能を評価したところ,1nmの精度で形状を制御することに成功した.次年度以降は,本システムの本格的な運用と,長期間の安定性の評価を行うことで,高性能かつ実用的な形状可変ミラーが実現できると期待している. ③ピエゾ素子の変形ドリフトを低減するために,新しい電圧印加法を提案・高度化した.これによって通常の電圧印加時に比べて,変形した状態を長期間安定に維持することができた. ④X線グレーチング干渉計を使って高精度な波面計測を実施した.これに基づいて通常のX線集光ミラーの形状を差分成膜法で修正したところ,1nm以下の精度でミラー形状を修正することに成功した.本技術は,形状可変ミラーの最終調整に非常に有効であり,今後この手法の高度化と,さらに別の波面計測法を開拓する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた計画を順調に進めることができた.提案した新型形状可変ミラーがうまく機能したことを確認するなど,当初目的を達成した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として,①X線を用いた新型形状可変ミラーの評価,②形状可変ミラーの形状安定化法の高度化 を中心に進める予定である. ①では,実際のX線を用いた集光実験を進め,本形状可変ミラーを評価する.いくつかの異なる集光光学系を形状可変ミラーを変形させることで構築し,その性能と実用性を確認し,開発にフィードバックする. ②では,形状可変ミラーを長期間安定に運用するための手法を確立・高度化する.電圧印加を工夫する方法や,単結晶圧電素子を用いる方法,機械式ベント機構でピエゾミラーをアシストする方法などを試みる.
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