研究課題
本年度は最終年度であるので、新規がんシグナル軸の総合的研究を行った。ARL4C経路については、がん種毎に下流シグナルが異なることが明らかになった。さらに、膵がん同所移植モデルマウスにARL4C ASOを投与すると、浸潤、転移に関与する遺伝子群の発現が低下した。DKK1-CKAP4経路に関して、肝がん症例では、DKK1とCKAP4の両タンパク質が高発現する症例(11%)は、他の症例よりも予後不良であった。抗CKAP4抗体を静脈投与することにより、モデルマウスでの抗腫瘍効果が認められた。また、レンバチニブとの併用により、抗CKAP4抗体の薬効が増強した。さらに、CKAP4の細胞内輸送機構は不明であったが、CKAP4の小胞体停留にCOP1が、細胞膜への輸送にAnnexin A2が関与することが判明した。GREB1経路では、肝がん、神経芽腫、悪性黒色腫において、GREB1が高発現し、予後不良と正の相関を示すことが明らかになった。肝がんにおいては、GREB1はWntシグナルと肝細胞転写因子HNF4αにより発煙し、TGFβシグナルを抑制した。神経芽腫ではGREB1の上流にMYC-Nが存在し、下流にポリコーム遺伝子が存在することが示唆された。悪性黒色腫では、GREB1の上流に色素細胞転写因子MITFの存在し、下流でピリミジン代謝酵素CADが活性化されることが明らかになった。さらに、肝がんではGREB1 ASOが抗腫瘍効果を示した。Wnt5a経路では、AOM/DSS大腸がんマウスにおいて形成されたがん組織から線維芽細胞を単離し、1細胞RNAシーケンス解析により、Wnt5aはTnc(+) Cd34(-)の集団で発現することが明らかになった。また、Wnt5aは、発がん過程で誘導される線維芽細胞集団に特異的に作用し、Wnt5aノックアウトマウスの解析結果からその集団を維持していることが判明した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Cell Science
巻: 133 ページ: jcs249045
10.1242/jcs.249045
Cancer Sci.
巻: 111 ページ: 951-961
10.1111/cas.14303
https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molbiobc/