研究課題/領域番号 |
16H06378
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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研究分担者 |
村田 隆 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 准教授 (00242024)
玉田 洋介 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助教 (50579290)
石川 雅樹 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助教 (00586894)
小藤 累美子 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (40324066)
関本 弘之 日本女子大学, 理学部, 教授 (20281652)
望月 敦史 国立研究開発法人理化学研究所, 主任研究員研究室等, 主任研究員 (10304726)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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キーワード | 分裂面形成 / GRAS転写因子 / ヒメツリガネゴケ / ミカヅキモ |
研究実績の概要 |
[研究1]1)LAS欠失変異体は4器官、SCRとSHR欠失変異体は葉原基の共焦点顕微鏡画像の取得を完了し、in vitro胚のセグメンテーションを完成した。2)十分量のin vitro胚を用いてLASの有無によって発現変動する遺伝子をRNA-seq法で探索し、昨年度の少量RNAseqの結果を確認した。3)in vitro胚において、RNAseqによって得られた候補遺伝子産物、オーキシン関連因子、細胞骨格関連因子などについて局在を調べた。分裂軸と関連した挙動を示す因子について、遺伝子破壊体を作出した。4)オーキシン誘導プロモーター応答性、オーキシン極性輸送因子局在、合成遺伝子の発現解析用の形質転換体を作成し、観察を行っている。5)微小管形成の自己組織化機構とshortest wall ruleとの関連についてタバコBY2細胞を用いて微小管動態の解析を行った。6) 茎葉体頂端幹細胞の分裂軸制御の新機構を見つけた。7)幹細胞と隣の細胞の分裂面形成の関連について解析した。 [研究2]1)SHRの細胞間移動を調べるため、SHR-GUS-GFPとSHR-GFPをshr欠失変異体に導入し相補出来ることを確認した。2)3つのRBR関連遺伝子、2つのCycD6関連遺伝子の発現解析を行った。また、免疫沈降法でSCR、SHRの相互作用を調べた。 3)MADS-box遺伝子を欠失すると茎葉体の分裂が抑制され形態変化がおこることからRNA-seqにより分裂因子との関連を調べたがGRAS転写因子を介した制御は見つからなかった。STEMIN遺伝子は細胞分裂を制御するCycD遺伝子を制御していることがわかった。 [研究3]1)昨年度作成したヒメミカヅキモの微小管可視化ラインを観察し、微小管動態と細胞分裂の関連を調べ、特異な微小管動態を示すことを発見した。2)GRAS遺伝子破壊体の作出を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
候補遺伝子の解析が順調に進行している。in vitro胚の観察から、予想外に、分裂軸がエレラ則に従って分裂している可能性がわかり新展開が開けつつある。エレラ則が成り立つ理由を微小管の自己組織化によって説明できる可能性がでてきた。当初予想とは異なるが、分裂面形成機構の解明に向けて、順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro胚と葉原基において、clfとclf las1 las2欠失変異体の細胞分裂様式を固定サンプルを用いて3次元的に構築し、shortest wall ruleが成り立っている細胞と成り立っていない細胞の区別を試みたが、分裂直後の細胞であるかが不明なため、計測値が一定しないことがわかった。そこで、継続観察し細胞分裂直後に固定する方法を検討する。in vitro胚と葉原基においてどの細胞分裂がエレラ則にあっているかを調べることで分裂軸形成について新しい作業仮説を検討する。オーキシンの分布、輸送体、合成酵素、不活化酵素の生活史全般をおった解析を行い、分裂面形成との関係の作業仮説を考える。さらに、in vitro胚の頂端幹細胞の分裂面形成がその後の分裂面形成に影響する可能性があることから、頂端幹細胞の分裂面動態についての作業仮説設定を目指す。ヒメミカヅキモの研究は予定どおり進める。
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