研究課題
(1)当初予定では、造精器、造卵器の細胞セグメンテーションとシミュレーションを行う予定であったが、葉原基でのSHR、SCR、LASの相互作用の研究が予想外に進展したことから、造卵器と造精器での解析は細胞セグメンテーションのみにとどめて論文化することとし、葉原基でのシミュレーションに重点をおいて研究を進めた。その結果、SHRは、面積最小則を上書きして、並層分裂を誘導していることがわかった。(2)オーキシン量の変動を細胞レベルで定量するため、R2D2センサーの確立を目指し、いろいろなコンストラクトを作成したが、既知のオーキシン変化に対応するような定量性を示す形質転換体を得ることができなかった。また、ABCB14の研究からオーキシンの関与の可能性が減ったことから、オーキシンに関する研究は中止し、事項のABCB14の研究に注力した。(3)年度当初、ABCB14はアポプラストにオーキシンを分泌することで局所伸長を引き起こすと作業仮説を立て、アポプラストのオーキシン検出を試みたが、野生型とABCB14欠失変異体で大きな違いは見られなかった。しかし、キューティクル合成の変異体と欠失変異体が形態的に類似していることに気づき、脂質解析へ方向転換した。透過型電子顕微鏡観察、質量分析計を用いた脂質定量解析から、欠失変異体では、ワックスとクチンの両方が減少していることがわかった。このことから、ABCB14は「局所的クチクラ制御」による「細胞の局所伸長機構を介した分裂軸制御」を行っていると推定した。さらに、野生型とSHR欠失突然変異体の比較トランスクリプトーム結果を再検討したところ、SHR欠失突然変異体でABCB14と同じファミリーに属するABC輸送体をコードする遺伝子や、ワックス生合成に関わる遺伝子が有意に発現減少していることがわかった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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