研究課題/領域番号 |
16H06383
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松田 浩珍 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80145820)
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研究分担者 |
野村 義宏 東京農工大学, 農学部, 教授 (10228372)
吉川 欣亮 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, プロジェクトリーダー (20280787)
好田 正 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20302911)
折戸 謙介 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70333143)
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研究期間 (年度) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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キーワード | 疾病予防制御 / 慢性炎症 / マスト細胞 / 標的分子 / パラメータ / 化学伝達物質 / 疾患モデル |
研究実績の概要 |
難治性炎症性疾患において、末梢組織に存在するマスト細胞が局所病態発現に関与するが、内在する起炎性物質は多種にわたり、放出動態に動物種を含め物質特異性を有する。これら起炎性物質は血中に放出された後、遠隔部位で病態誘導する場合があり、近年マスト細胞活性化症候群という新たな概念が提唱されている。本研究では、マスト細胞の活性化と病態発現部位について、組織微小環境を背景に疾病および動物ごとの機能性分子を同定し、多種類の動物を対象とする獣医領域において未だ充分に解明されていない難治性炎症性疾患の病態解析と再定義をすることによって、病因と病勢評価につながる新たな診断法および治療薬の開発を目指す。 1.マスト細胞の亜種に含まれる化学伝達物質の解析ーマウス由来培養未分化マスト細胞、および皮膚、腹腔などの組織より分離したマスト細胞を最終的に高性能セルソーターによって単離し、マイクロアレーを用いて、mRNAの分離に成功した。 2.マスト細胞の亜種の刺激応答性解析ー細胞表面に発現するチャネル、特に温度、酸素、pH、痛み、痒みチャネルであるtransient receptor potential(TRP)ファミリーに焦点をあて解析した結果、マスト細胞にはTRPA1が恒常的に発現しており、酸素刺激によって活性化することを突き止めた。 3.遺伝子操作解析ーマスト細胞由来トリプターゼが未熟児網膜症の発現に関連する新知見を得たことから、この現象を確認するためトリプターゼノックアウトマウスを作成した。 4.知覚異常の動作解析ーアトピー性皮膚炎自然発症モデルマウスを用いて、マスト細胞由来炎症性サイトカインが、鬱様症状の誘因となることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
未熟児網膜症モデルによる研究では、病態誘導のマスター分子を発見でき、その阻害剤の候補も確定できた。これは予想をはるかに上回る結果であった。
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今後の研究の推進方策 |
予定した研究計画は順調に実施され、成果を得ていることから、特段の推進方策を計画していない。しかし、ウマのマスト細胞の分離には多くの皮膚サンプルが必要となることから、現在日本中央競馬会に協力を依頼し、共同研究を開始すべく調整をしている。
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