鍵と鍵穴の相互作用を利用して生物活性を示す低分子医薬品は、広範囲の領域を多点で分子認識することが苦手である。それに対してタンパク間相互作用に威力を発揮すると言われているのが中分子医薬品である。一般にアミノ酸や糖類から構成されるこれら「大・中分子」はその分子構造の大きさと複雑さから今なお大量かつ安価に化学合成することは容易ではない。そこで我々は、天然型及び非天然型のアミノ酸や単糖から構成されるペプチドやオリゴ糖、さらには糖ペプチドを効率的に合成あるいは連結させるために必要となる各種“合成触媒”を独自で開発し、「大・中分子」の合成に資する幾つかの基盤技術を確立した。
|